債務整理 個人再生

債務整理、個人再生の注意点など

個人再生手続きは、多重債務で苦しむ人のために新しい救済手段として、2001年4月1日より導入されました。
借金の総額(住宅ローンを除く)が3000万円以下の個人で、将来において一定の収入が入る見込みのある個人が利用することができます。

 

これまで民事再生法は、経済的に返済の困難な債務者が、返済計画にしたがって将来得られる収入を債務返済に充てることとし、返済できない債務金額を規定内で免除してもらうことです。

 

債務者の経済的破綻にならずに、自助努力で再生する手続きを定めたものであり、また、民事再生法は法人だけでなく個人も利用できる手続きでした。

 

しかし、通常の手続きは個人が利用するには事柄が込み入っていて費用も高いのです。
そこで、より個人債務者にも利用しやすく簡素化した手続きが個人債務者再生手続きなのです。
民事再生法の小規模個人債務者向け特則として定められました。

 

個人再生手続きでは、住宅ローン債権と他の一般再生債権とに分けられ、一般再生債権については返済額が減額されます。

 

この個人再生手続きを簡単に説明すると、例えば1.000万円の借金を抱えている多重債務者がいるとした場合、そのうちの300万円を3年間で返済するという再生計画を立て、裁判所がこの再生計画案を認可した場合には、多重債務者は計画案どおりに3年で300万円を返済することで残りの700万円の借金は免除されます。

 

 

個人債務者再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類あります。

 

◆小規模個人再生は:個人でお店を経営しているなどの小規模な個人事業者や農業・漁業などの人。
◆給与所得者再生:毎月の収入がある程度予想できる会社員や公務員などの人。

 

 

個人再生を使うための必要条件!
個人再生を使うには一定の条件があります。
まずは、個人であり、借金総額が5000万円以下であることが必要です。
しかし、この借金からは、住宅ローンや担保のついている債権のうち担保で回収できる額や罰金などは除かれます。

 

また、将来にわたって一定収入の見込みがあって、借金を返していけるという必要があり、サラリーマンや、事業をしている人でも、一定の収入の見込
みがある人なら個人再生の対象となります。※会社の場合は、個人再生でなく一般の民事再生を使うことになります。

 

 

個人再生でマイホームを手放さなくて済む!
人生の中で最も高い買い物と言われているマイホームを手に入れたのに、できるなら手放したくはないですよね。
それなら個人再生(個人債務者再生)の住宅ローン特則を利用すれば、債務者は住宅を維持しながら借金の整理ができますよ。

 

ちなみに自己破産方法を選択すると、債務者の所有している住宅は強制的に処分され債権者に配当されてしまいます。

 

 

◆住宅ローン特則
住宅ローン特則は、多重債務者が住宅ローンの支払いに困難になった場合、将来においても住宅の保持ができるように住宅ローンの支払い猶予を認める制度となってはいます。
しかし、この制度は住宅ローンの支払額を減額するものではなく、住宅ローンの支払いを繰り延べる制度だということです。

 

個人再生手続きにおいて、住宅ローンの支払い猶予を求める住宅ローン特別条項を含む再生計画案が認可された場合に、住宅ローンについての支払い猶予の効力が発生します。
そして、再生計画案に従って弁済を継続している限り、住宅ローンに関する抵当権行使はされずに住宅を保持することができます。

 

 

【住宅ローン特則に於いての注意点】
住宅ローン特別条項には、住宅資金貸付債権(住宅ローン債権)についてのみ定めることになっています。
仮に、対象の土地や建物に住宅ローン以外の担保が設定されている場合には住宅ローン特別条項を定めることは出来ないので、住宅ローン特別条項を利用する場合は、住宅ローン以外の担保設定を解除する必要があります。

 

 

【認められる住宅ローン特別条項】
期限の利益回復型:本来の住宅ローンの支払はそのままで、それまで支払が延滞している元利金及び遅延損害金を再生計画による弁済期間内に分割で支払うものです。期限延長型:当初の住宅ローンの最終弁済期日を延長することで、月々の返済額を少なくするものです。(債権者の同意があれば10年以上の延長も可能。また、70歳を超える年齢での完済も可能です。)

 

元本猶予型:再生計画による弁済期間中の住宅ローンの支払額を少なくするものです。
住宅ローン債権者同意型:住宅ローン債権者の同意を得て、〜以外の返済計画を作成します。

 

※小規模個人再生手続きでも、給与所得者等再生手続きでも利用することができます。
また、住宅を維持する必要のない人は住宅ローン特別条項を利用する必要はありません。

 

 

個人再生のメリット&デメリット

 

【メリット】
個人再生の最大メリットはマイホームを維持しながら借金を整理をすることができます。(自己破産の申立ての場合、自宅を手放すようになります。)
住宅ローン以外の借金は減額することができます。但し、減額した借金には将来利息はつきませんが、原則として3年以内に分割で支払うようになりま
す。(特別の事情がある場合には、5年まで延長が可能)

 

 

◆住宅ローン以外の借金
・100万円〜500万円以下の場合は最大100万円まで減額可能です。
・500万円〜1500万円未満の場合は最大5分の1まで減額可能です。
・1500万円〜3000万円以下の場合は最大300万円まで減額可能です。
・3000万円〜5000万円以下の場合は最大10分の1まで減額可能です。

 

 

個人再生は自己破産と違うので、資格を剥奪されません。(自己破産の場合、宅地建物取引主任者・生命保険外交員・損害保険代理店・証券会社外務員・警備員などの資格を失います。)

 

 

【デメリット】
5年〜7年の間はローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなることがあります。
だだそのの期間が過ぎれば、ローンを組めるようになります。

 

手続き期間が長くかかることもあります。
原則3年間支払い続けなくてはいけません。

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